Classiques japonais avec furigana
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ロザリオのくさり
ロザリオの鎖
永井 隆
Lisez ロザリオの鎖 (ロザリオのくさり) de 永井 隆 (ながいたかし) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 107 351 caractères · 213 écrans
夏になったが、畑は主食の方に取られて、今年は水瓜が少ないとのうわさ。おぼんにさえやみ市場にもあまり姿を見せなかったそうだ。それも一つ何百円とか、新円成金が買ったぐらいのことで、とても月給取りの手に入るべくもなかった。田川先生は、ちょいちょい見舞いに来ては、水瓜を約束したもののなかなか手に入りませんでな、と申しわけをするばかり。私は気の毒になって、まあそんなにご心配くださらぬように、お志だけでもうれしいのですから、と何度もことわった。私の体のむくみは日によって減ったり増したり、はかばかしくなかった。
夏休みも終わるころ、大浦の神学校からお見舞いにといって水瓜を一つおくられた。ありがたくて涙が出た。これでむくみも減ると思うとそれが大きな青い丸薬のように見えた。ひと夜井戸の中につるして、しんまで程よく冷えきったところで、ほうちょうを入れた。誠一が光ったほうちょうを大きな球に、こう当てて考え、ああ当ててためらっているのを寝床の中から見ながら、私は幼い日の喜びを思い出していた。
水瓜をかついだ田川先生が病室に姿を現わしたのは、そのあくる日であった。汗をふきふき口早に水瓜入手のいきさつを語る先生自身の喜びがまずすでに大きかった。