Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ロザリオのくさり
ロザリオの鎖
永井 隆
Lisez ロザリオの鎖 (ロザリオのくさり) de 永井 隆 (ながいたかし) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 107 351 caractères · 213 écrans
「まるで夢遊病者の看護をしているようですわ」と妻が言ったことがある。
ぜひ相談せねばならぬ家事の問題が起こっても、耳には入れられず、夫の気をちらせてはならず、頭を使うから特別の料理を作らねばならず、うっかりしているとネクタイなど忘れて飛び出すので身のまわりの世話も手がぬかれず、畳にまでいちめんに広げられた調査カード、ノート、参考書、写真、紙くずなど、片づけていいものやら悪いものやらわからず、夜の帰宅時間は定まらないし──こんな夫の世話をよくも妻はあの細腕でなしとげたものであった。
この妻の労苦に対して私の報いたのは、ただ雑誌に載った私と論文を見せること、それだけであった。ほかの人々ならソファーに身をうずめてパイプをふかしながら、あるいは畳にねそべって拾い読みする雑誌を、妻はきちんと座り直し、おしいただいてからページを繰るのであった。インキのにおう活字が私の名を記しているそのページ、それは専門術語の並んだ、読んでも理解できぬ文章である。それは幾ページかの短いものであっても、その中に夫の生命が、ちょうど、かつおぶしのように削りこんであるのを知っている妻は、涙さえ浮かべて読んでゆくのであった。