Classiques japonais avec furigana
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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
Lisez 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 203 094 caractères · 411 écrans
それを救うに良き方便がござりましょうか。」
女は涼しい眼を据えて、相手の顔をじっと見つめていると、兼好は珠数をつまぐりながらまた笑った。
「そりゃもう是非がない。捨つるに如かずじゃ。」
「捨つるとは。」と、女はその意を覚りかねたように訊き返した。
「男にもせよ、女にもあれ、それほどに迷い、それほどに溺れたら、もはや救うに道はない。その人を捨つるとあきらめて、彼が勝手に振舞わすのじゃ。それがために、この世では身を傷り家をほろぼし、来世は地獄に堕つるとも、宿世の業じゃ、是非もござるまいよ。」
彼は悟り切ったように澄ましていた。女は少しく小首を傾けていたが、やがて何か悟るところがあったように、今まで固く結んでいた其のくちびるの蕾をひらいて、俄かににっこりと美しい笑顔を見せた。
「それでわたくしの迷いも晴れました。胸の煩らいも解けました。就きましては今一つ、御坊にすがってお願い申したい儀がござりまするが、お聞き済み下されましょうか。」
「われらに成ることならばのう。」と、兼好はやはり笑っていた。「どのようなむずかしい事でござるかな。」
「いえ、お前さまにはいと易いこと、文を書いてくださりませ。