Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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へいけがに

伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集

岡本 綺堂

Lisez 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 203 094 caractères · 411 écrans

Aozora Bunko

」

「この間からのお話が耳に残っておりましたので、大方そうとお察し申しました。」と、采女もほほえんだ。「して、かの一儀は術よう整いましたか。門口での立ち話、くわしいことは判りませなんだが、かの兼好という法師、なかなかの拗者のようにも見えましたが……。」

「おもいのほかに快う引き受けて……。かの法師ひと癖ありげにも見えながら、なかなかの粋じゃ。すぐにさらさらと一と筆書いてたもった。」

「かの艶書を……。すぐに書いてくれましたか。」と、采女は案外らしく言った。

ゆう暮れの色はいよいよ深くなって、肩をならべてゆく二人の細い姿を黒く染めた。もと来た路を遠くふり返ると、双ヶ岡は暗く沈んで、そこの灯の影は尾花の末に隠されてしまった。肌さむい風が広野をゆすってどっと吹き寄せて来たので、二人はからだをひたと摺り寄せながら歩いた。

「して、その艶書、お読みなされたか。」と、采女はまた訊いた。

「艶書でない。歌の上五文字じゃ。余人には洩らされぬが、そなたには言うて聞かそう。それはただ『なよ竹の』とあるばかりじゃ。」

「ほほう。なよ竹の……。」と、采女は口の中で繰り返した。「なよ竹の……。