Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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へいけがに

伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集

岡本 綺堂

Lisez 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 203 094 caractères · 411 écrans

Aozora Bunko

の講釈を、百年も前から心得ていたような顔をして、彼は笑いながら枕もとの香をつまんで、大明渡りと見える香炉に軽く投げ入れすると、うす白い煙りがたよたよとあがって、むせるような匂いが彼の大きい鼻をうった。坂東武者もこの頃は都の手振りを見習って、風流を誇るようになったのである。父の機嫌の好いのを見計らって、小坂部は甘えるようにささやいた。

「父上、わたくしにも折り入ってお願いがござりまするが……。」

「ほう、あらたまってお身の願いとは……。何なりと言え。聞こう。」と、師直は興がるように首を伸ばして、娘の白い横顔をのぞいた。

「余の儀でもござりませぬが、小坂部に夫を持たせてくださりませ。」

夜風がさっと吹き込んで来て、燈台の灯が力なくふるえて、ゆらゆらとなびいた。その弱い光りが再び元のように明かるくなった時に、師直はもう一度その灯を吹き消そうとするかのように大きく笑い出した。

「よい、よい。若い娘の言いにくい事を打ち明けてよう言うた。男の子には三河守がある。武蔵将監がある。武蔵五郎がある。娘というてはお身一人じゃで、可愛さのあまりにいつまでも小供のように思うていたが、まことにお身ももう娘盛りじゃ。