Classiques japonais avec furigana
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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
Lisez 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 203 094 caractères · 411 écrans
小坂部はさっきと同じように、その魚のような眇目と火のような片目とを見た。彼は侍どもに捕われている手籠めの苦痛と運命の危険とを忘れたように、さながら弥陀の来迎を仰ぐような歓喜の面をかがやかして無言にじっと小坂部の顔を瞰あげているのであった。
「こやつ、胡乱と見ましたで引っ捕え申した。」と、権右衛門は先ず答えた。「眇目の異国人が都の中にさまよう由はかねて聞き及んで居りましたが、館の御門前に立ち迷うて先刻より内を窺うは重々の不審と存じて、ともかくも取り押さえて吟味いたせど、あらぬことのみ口走りてちっとも埓あかず。さりとて彼の面付き、眼の配り、世のつねの乱心狂気ともおぼえませねば、何か子細ありげな奴、あらためて吟味いたすまでは館の内に繋ぎ置こうと存じまする。」
「それもよかろう。」と、小坂部も一応はうなずいた。「しかしその男はさきほども路で出逢うた。物狂わしい異国の人、深い子細がありそうにも思われぬ。このままに免してやってはどうであろうな。」
権右衛門も二人の若侍も無言で眼を見あわせたが、その不得心はかれらの顔の色にありありと浮かんでいた。采女も黙っていた。