Classiques japonais avec furigana
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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
Lisez 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 203 094 caractères · 411 écrans
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玉虫 おお、蟹……。わらわを案内してたもるか。して、どこへ……。海へゆくのか。よい、よい。(蟹は消ゆ。浪の音いよいよ高し。)
玉虫 や、蟹はいつの間にか……。(あたりを見廻して。)おお、新中納言どの……。能登守どの……。また見えられたか。いざ御一緒に……わらわも海へまいりまする。おおそうじゃ。浪の底にも都はある。わらわも役目を果たしたれば、これからはお宮仕え。さあ、お供いたしまする。
(眼にもみえぬ人に物いう如く、玉虫はひとり語りつつ庭に降り立ち、表のかたへ迷い出でんとする時、向うより那須の家来弥藤二は松明を持ちて再びいず。)
弥藤二 若殿……。お迎い……。
(云いつつ門をあけんとして、出逢いがしらに玉虫に突きあたる。玉虫は物をも云わず、その松明をうばい取る。弥藤二おどろきて支えんとするを、玉虫は無言にて突き退け、片手に松明をふりかざして、緋の袴を長くひきつつ、足もしどろに迷いゆく。弥藤二は呆れてあとを見送る。浪の音、雨の音。)――幕――
(明治四十四年九月執筆/明治四十五年四月、浪花座で初演)