Classiques japonais avec furigana
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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
Lisez 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 203 094 caractères · 411 écrans
その塩冶高貞が謀叛を企てたというのであるから、師冬も一旦はおどろかされた。しかも師直の説明によると、塩冶は西国の菊池、四国の土居得能、北国の新田と内密に謀し合わせて一度に都へ攻めのぼらせる。それと同時に、彼は都のまん中に旗を押し立てて、足利の将軍兄弟を不意討ちにするというのであった。
万一それが事実であったら大事件である。きのうの味方がきょうの敵となるのは珍しくない世の中に、そんなことが決して無いとは受け合われない。しかし師冬は塩冶の人物をかなりによく承知していた。竹の下の変心は格別、その後の彼は足利方に対してふた心を懐いているらしい形跡はちっとも認められなかった。その塩冶が突然に謀叛を企てるというのは、何分にも腑に落ちない点もあるので、彼は父にむかってその証拠調べを始めると、師直もいろいろの証拠を列べ立てて説明した。しかも師冬の眼から観ると、そのいろいろの証拠の中には一つも有力と認められるものはなかった。その大部分は一種の想像説に過ぎないようなものであった。こんな薄弱な理由で、塩冶高貞ともあるべきものをみだりに謀叛人に陥すことは出来ないと彼は思った。