Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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へいけがに

伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集

岡本 綺堂

Lisez 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 203 094 caractères · 411 écrans

Aozora Bunko

残りの者は采女を打ち捨てて、半死半生の権右衛門と新九郎とを介抱している。その隙きを見すまして、小坂部は再び懐剣に手をかけたと思うと、兎のように飛び出して采女のそばへ寄って、彼を厳重にいましめてある捕り縄を手早く切りほどいた。

「この間に早く……。」

かれにささやかれて、采女はすぐに起ち上がると、権右衛門らの介抱に気を取られていた家来共もすぐに気がついて、あわてて彼を取り押さえようと駈け寄って来たが、さきに采女を縛める時に彼等は不用意にもその太刀を奪い取るのを忘れていたので、縛めから放たれた采女は早くも太刀をぬいた。小坂部も懐剣をかまえて男を庇うように立った。先刻とおなじ闘いが再びここで繰り返されることになったが、何分にも小坂部という邪魔者があるので、かれらは妄りに踏み込んで撃つことを躊躇しなければならなかった。この騒ぎを聞きつけて、堂のうしろからも他の家来どもが引っ返して来た。

こちらはもとより闘う意思はないので、采女は姫の手をひいて暗いなかを逃げ去ろうとすると、消えかかる焚火のうすい光りをたよりにして、かれらは強情に追って来た。まだ七、八間とは逃げ延びないうちに、二人は再び敵に追い囲まれて、どうでも太刀撃ちをしなければならない破目に陥ったので、年の若い采女は逆襲の態度でむらがる敵の中へ斬り込んで行った。