Classiques japonais avec furigana
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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
Lisez 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 203 094 caractères · 411 écrans
」
半分は夢のような心持で聴き惚れていた小坂部は、彼が一と息つくのを待ちかねてまた訊いた。
「では、この頃の世のみだれ、また父上が心の乱れ、それもこれも皆お身たちのなす業か。」
「疑うに及ばぬ。今いう通りじゃ」と、男はうす暗い中でうなずいて見せた。
「その儀ならば……。」
小坂部は思い切って懐剣をぬこうとしたが、その柄を握りしめているかれの手は怪しいように硬くなって、何者かにその腕を取りしばられているように感じられた。微かな蝋燭の灯の光りで屹と見かえると、いつの間に窺い寄ったのか、一羽の大きい蝙蝠がかれの右の臂の上に吸い付くように止まっているのであった。力まかせにそれを振り払おうとしても、蝙蝠はなかなか動きそうもないので、小坂部は焦れて更に懐剣の鞘を口にくわえた。そうして、左の手でそれを抜こうとすると、その手にも何物かがひらりと飛び付いて離れなかった。よく視ると、それは大きい眼の晃る梟であった。
両手の自由をうしなった小坂部は、いたずらに歯噛みをして眼の前の敵を睨みつめていると、眇目の男はしずかに笑っていた。
「はは、くどくも言うようじゃが、お前たちの運命はわが手のうちじゃ。