Classiques japonais avec furigana
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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
Lisez 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 203 094 caractères · 411 écrans
親も捨て、兄弟も捨て、われらの教えをうけて、われらの世界に棲んでいれば、人のいう地獄が却って極楽じゃ。」
小坂部は頭を垂れて、おとなしく聴いていた。かれはもう懐剣を探るような心になれなかった。
「今でこそお身はわれらの弟子じゃ。われらの教えをうけねばならぬ。」と、男は少しく詞をあらためて、かれを敬うように言った。「しかし、われらの見るところでは、お身の行く末は所詮われわれの及ぶところではない。お身は神じゃ、われわれの尊崇する魔神の権化じゃ。ゆくゆくはわれらがひざまずいて、却ってお身の光りを拝まねばなるまい。われらも東海のこの国にさまようて、千万人に一人のお身を見いだしたというは、わが教えのいよいよ天地に栄ゆる兆じゃ。本国の人々もこれも伝え聞いたら、おそらく涙をながして喜ぶことであろう。」
彼の片眼の光りは、かつて小坂部をおびやかしたように爛々と燃えていた。彼は床の上にひざまずいて、まず神壇の燈火を拝し、さらに骸骨の前に身を投げ伏して、その詞の通りにうやうやしく小坂部を拝した。
彼は部屋の隅にある甕の水を汲んで、小坂部に飲ませてくれた。その水は天主閣の軒から筧を引いて、天水を呼ぶのであると教えた。