Classiques japonais avec furigana
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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
Lisez 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 203 094 caractères · 411 écrans
これで元弘建武以来六十余年の兵乱もようやく鎮まるかと思うと、遠い九州には菊池の一族がふたたび旗をあげる。都に近い泉州堺では大内義弘の謀叛がある。鎌倉には管領持氏の乱が起こる。赤松満祐は将軍義教を弑して、播州に楯籠る。こうした兵乱がそれからそれへと更に七十年ほども続いた。
異国の眇目の男は、師直の一門滅亡の後にも、折りおりに巷にさまよう姿を見せた。ある者は彼をふたたび京の町に見た。ある者は彼を浪華の津に見た。ある者は彼を堺の浦に見た。しかも前にいった明徳年中、南北両朝の和議が取り結ばれた頃から、どこでも彼の姿を見たというものはなかった。彼はもうおのれの役目を果たして、故郷の異国へ立ち帰ったのか。あるいは姫山の天主閣の頂上にうずたかく積まれてある骸骨の群れに入ってしまったのか、それは誰にも判らなかった。
彼が姿をかくしてから七十年ほどの後である。播州赤穂郡赤松村に住んでいる藤次郎と雉六の兄弟が、白旗山へ小鳥狩に登って行った。かれらは百姓の子であったが、この時代の生まれだけに弓矢を取りおぼえて、農作の傍らには狩人を生業のようにしていた。殊に冬季は農作も閑であるので、ほとんど毎日のようにそこらの野山を猟り暮らして、十二月初旬の陰った日に白旗山へ分けのぼると、きょうはどうしたものか小雀一羽もかれらの眼に入らなかっ