Classiques japonais avec furigana
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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
Lisez 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 203 094 caractères · 411 écrans
半※(「日+向」、第3水準1-85-25)過ぎても、一※(「日+向」、第3水準1-85-25)経っても、なんの音沙汰もなかった。不安に思って、他の家来共もつづいて登ったが、それもまた一人も帰らなかった。小姓と家来をあわせて十余人の人間は、いずれも暗い天主閣の奥に封じ籠められてしまったらしく、一人も無事に戻って来て閣上の秘密を報告するものはなかった。
「さりとは怪しからぬことじゃ。大事の家来を一人ならず五人十人も奪われては、羽柴の家の弓矢の恥辱じゃ。つづいて登るものはないか。」
秀吉は癇癖の唇を顫わせて哮った。その下知にしたがって、福嶋市松が駈けあがると、天主閣のなかは昼でも闇であった。彼は一旦引っ返して、手松明を用意して登ると、二階三階をゆく間は何事もなかったが、第四階までゆき着いた時に蝙蝠のような大きな鳥が音もなしに飛んで来て、不意に彼の手松明を搏き落とした。市松は舌打ちしながら暗い中を探ってゆくと、なんだか判らない獣が彼の肩あたりに飛びかかって来たので、彼はすぐに引っ担いで力任せに床の上に叩き付けると、何かまた這って来て其の足に絡み付いた。蛇ではあるまいかと想像しながら、市松は足をあげて強く蹴放した。