Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
えせものがたり
似而非物語
山本 周五郎
Lisez 似而非物語 (えせものがたり) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 31 817 caractères · 64 écrans
五
けれども彼は話し好きだったし、相手は眼の前にいた。寝起きも同じ小屋であり、岩風呂は一つしかなかった。いつも相手は鼻の先にいるので、三日めにはついに我を折ってしまった。
――岩に話すと思えばいい。
飯篠老人はそう考えた。話しかけてみれば、杢助もまんざら黙ってばかりはいなかった。ぶあいそうではあるが、ときには返辞もするし、質問することさえもあった。たとえそれがまのぬけた、拍子もないようなものであったにしても、慥かに岩よりはましであった。
「此処はいい、じつにいい」
飯篠老人は必ずそこから話のきっかけをつけた。
「山紫水明、幽邃閑寂、などという通俗なことではない、そこはちょっと適当な形容を思いつかぬが、ともあれ静かで、人情純朴ないいところだ」
五
「残念なのは修業者の来ることだ、わしは世捨て人じゃ、俗世の名利をきれいに捨てて来たのじゃ、山中に身を隠して、誰にも知られず余生を楽しみたい、できれば神仙に化したいと思っておる」
「おら知ってるだよ」
杢助が云った。
「ほかにも似たようなことを云う人に会ったことがあるだよ」
「似たような者、ほう、それは殊勝なことであるな」
「その人はおらに酒を飲ましてくれただ、伏見の城下町のことだっけが」