Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

えせものがたり

似而非物語

山本 周五郎

Lisez 似而非物語 (えせものがたり) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 31 817 caractères · 64 écrans

Aozora Bunko

誰か一人は必ず杢助に附きっきりで、飯の給仕をし茶を淹れ、そして肩腰を揉んだり叩いたりした。

「すべて道の修業のためでございます」

かれらは自分からそう云うのであった。けれども五人のなかで、三之木だけは違っていた。彼は飯篠老人が予言していたような修業者の一人で、ぜひ先生の太刀筋を拝見したいといい、そこで例の木剣と睨みあうことになった。榧の枝から吊り下げた木剣に向って、彼も自分の木剣を持って、挑戦するのである。

――おそらく打込むことはできなかろう。

飯篠老人はこう云ったが、そのとおりであって、三之木三郎は五人のなかでは誰より逞しく、髭さえも生やしていたのに、どうしても打込むことができない。ぶらりと宙に下っている木剣を睨んで、眼を剥きだし歯をくいしばって、それこそ膏汗をながして、一日じゅういきみ返っていた。ときには夜半ごろにとつぜんはね起き、「おう、そうだ」などと云って、木剣を掴んでとびだしたりするが、やっぱりうまくはいかないらしい。そういうわけで、三之木だけは殆んどほかの用事をしなかった。

他の四人は好い若者であった。みんな剣術の極意のことで頭がいっぱいらしい、昼夜十刻、眠っていてさえも頭から放れないようで、みんないつも緊張し思い詰めたような眼つきをしていた。