Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
えせものがたり
似而非物語
山本 周五郎
Lisez 似而非物語 (えせものがたり) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 31 817 caractères · 64 écrans
ところで杢助は「くる眼」の発作を起こした、両方の黒眼が片方はあちらへ片方はこちらへと、互いに勝手な運動を始め、その動きはしだいに速く、激しくなるのであった。
岩見重太夫は頭がちらくらしてきた。彼の眼は杢助の両眼をがっきととらえていた、しぜん重太夫の両眼は杢助の両眼の動きと不可分であり、まったく意思に反して同一運動を起こした。神経が通常である者にとっては、それは怖るべきものであり、とうてい負担に耐えがたいものであった。いつかの食いつき犬は尻尾を巻いて逃げたけれども、この大豪傑は逃げることもできず、杢助の「くる眼」が激しくなるにしたがって、漸次その顔が蒼くなり、呼吸も逼迫し、その巨躰がぐらぐらと揺れ始めた。そうして、杢助の眼球が裏返しになるとたん、岩見重太夫はついに眼をまわして、仰反ざまに(枯木でも倒れるように)どしーんとぶっ倒れてしまった。
試合は終ったのであった。馬場は歓呼の声にどよめきあがった、まさに勝鬨の声であった。そのどよめきのために、馬場から土煙が巻きあがった。
「おみごとおみごと」
尾井幾兵衛が駈けよって来て、しわがれたかなきり声で叫んだ。