Classiques japonais avec furigana
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ひかりはかげを
光は影を
岸田 国士
Lisez 光は影を (ひかりはかげを) de 岸田 国士 (きしだくにお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 138 262 caractères · 276 écrans
これが機緑になつて、平山いくは、彼をいつそう隔てのない間柄として取扱うようになり、遠矢幸造がうるさがつて相手にせぬほどの問題を彼にもちかけ、時には、遠矢にさえ打ちあけかねる相談ごとまで、彼の耳に入れるという親密ぶりをみせた。
京野等志は、一方でその待遇を甘んじて受けいれながら、一方では、いくぶん、こちらのどこかに隙があるのではないかという警戒心をもつて、これに応えていた。
その頃、彼は家にいる時間がわりに多かつた。きまつた仕事がほかにあるわけではないから、自然、自分の部屋にとじ籠つて、読みたい書物を読み耽るぐらいのものだが、そういう生活はまた、家のものとの接触を意外に複雑にした。父とは、それこそ、めつたに顔をつき合わせることはないのに、刻々の気分の移りかわりが手にとるようにわかつた。第一に、母の顔色で、それが読めた。第二に、妹たちの眼つき、声の調子に、それが映つていた。
もちろん、文字どおり一家の空気を支配している父の存在が、以前のように、すべてを圧しつぶしているようにはみえなかつた。それどころか、いまは却つて、ひとつの力、ひとつの中心に向つて、すべてが反撥の姿勢をとつているようにさえ思われた。