Classiques japonais avec furigana
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こじょうのまひる
古城の真昼
野村 胡堂
Lisez 古城の真昼 (こじょうのまひる) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 13 644 caractères · 28 écrans
六
数学的に割り出すと、この深さは四十八尺、疑は無い」
石畳を一つ起すと、その中に凹みがあって、したたかな棕梠縄、鈎、柄の短かい鶴嘴などが入って居ります。
「こんな事だろうと思って用意をしたのだ。退屈病患者達は、後学の為によく見て置くがいい」
だんだんこの優男の言葉がぞんざいになります。くるくると上着を脱ぐと、井戸の側の桂の大木に棕梠縄の一端を堅く結び付けて、一端をぞろりと井戸の中へ、
「みっちゃん、君は一番信用が置けそうだ。あとをよく見張って居てくれ。その辺の狼へ気をつけるんだよ」
生月駿三は鶴嘴を小脇に、スルスルと縄を伝って井戸の底へ。
六
太陽と水との接吻をする辺まで降ると、棕梠縄の瘤を足だまりに、じっと四壁を見廻して居りましたが、やがて、
「フム」
一つ唸ると、かくしからU字型になった鈎を出し、縄の途中へ引っかけて、それを自分のバンドへ止め、両手に鶴嘴を振り上げて、サックと畳み上げた石垣の隙間へ叩きこみました。
二打三打、石はポロリと落ちて、井戸の中へ溜った水はその穴の中へ恐ろしい勢で流れこんで行きました。
「これで可し」
鈎を外して鶴嘴を小脇に縄を伝わって上ろうとして驚きました。