Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
きゅうけつき
吸血鬼
江戸川 乱歩
Lisez 吸血鬼 (きゅうけつき) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 190 554 caractères · 381 écrans
だが、エンジンの音ではない。もっと近くの、倭文子達の真下から聞こえて来る、一種異様の物音だ。
ザラザラと何かの落る音。カランと金属の触れ合う響。そして、かすかに人の歌う声。
卑俗な流行歌を歌う、男のドラ声だ。
アア、分った。隠亡が鼻唄を歌いながら、下の焚き口へ、ショベルで石炭を投げ入れているのだ。
いよいよ最後の時が来た。
耳をすますと、気のせいか、ボーと燃え上る炎の音まで聞こえて来る。
「母さま、どうしたの? アレなに?」
茂が乳房を離して、おずおずとたずねた。勿論ささやき声だから棺と鉄扉と二重の外まで、聞こえる筈はない。
「茂ちゃん、いよいよ天国へ行けるのよ。今、神様がお迎えにいらっしゃるのよ」
とはいうものの、倭文子の心臓は、恐怖のために破れ相だ。
「神様、どこにいるの?」
「ホラ、聞こえるでしょう。ボーッという音、アレ神様のはねの音なのよ」
彼女はもう気が違い相だ。
茂はじっと聞耳を立てていたが、彼にも火の燃えるかすかな音が聞こえたのか、俄に母にしがみついて、乳房に顔を埋めた。
「母さま、怖い! 逃げようよ」
「イイエ、ちっとも怖くはないのよ。ちょっとの間よ。