Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
きゅうけつき
吸血鬼
江戸川 乱歩
Lisez 吸血鬼 (きゅうけつき) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 190 554 caractères · 381 écrans
ふと気がついて、耳をすますと、どこか上の方から、子供の泣声が聞えて来る。深々と静まり返った夜の中に、細々と絶えては続く、淋しい泣声。
幼い子供が、折檻されている様子だ。
いとし子の声を、なんで聞違えるものか。あれは確に、茂の泣声だ。そうでなくて、こんなにも、ヒシヒシと胸にこたえる筈がない。
「茂ちゃん。お前、茂ちゃんですね」
倭文子は、耐らなくなって、思わず高い声で叫んだ。
「茂ちゃん。返事をおし。お前の母さまは、ここにいるのよ」
恥も外聞も忘れて、気違いの様に叫び続ける声が、やっと相手に通じたのか、一刹那、泣声がパッタリ止ったかと思うと、俄に調子の高まった、身を切られる様なわめき声が響いて来た。その調子が母さま母さまと呼んでいる様に聞える。
それに混って、ピシリピシリと異様な物音、アア、可哀相に、子供は鞭で打たれているのだ。
だが、その間に、倭文子にとって、茂の泣声よりも、もっともっと恐ろしいものが、忍びやかに、彼女の身辺に近づいていた。
運転手達の出て行った、扉の上部に小さな覗き穴が作ってあって、今、その蓋が、ソロソロ開きつつあるのだ。
痛ましい子供の泣き声が、少し静まったので、天井の方に集まっていた注意力が、解けると同時に、目についたのは、扉の表面に起っている、異様な変化であった。