Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
きゅうけつき
吸血鬼
江戸川 乱歩
Lisez 吸血鬼 (きゅうけつき) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 190 554 caractères · 381 écrans
「あなたは誰です。どうして私達をこんなひどい目に合わせるのか、その訳をおっしゃい!」
倭文子は死にもの狂いの顔を上げて、上ずった声で叫んだ。
いつの間に、カンテラを吹き消したのか、部屋の中は、真の闇だ。怪物のありかも、その異様な呼吸の音で、やっと察し得るに過ぎない。
相手は不気味に押黙っている。
闇の中に、暗よりも黒いものが、微に蠢いて、いまわしい息遣いが、徐々に徐々に、近づいて来るのが感じられる。
やがて、頬にかかる熱い息、肩を這い廻る指の感触……
「何をするんです」
倭文子は肩にかかる手を払いのけて立上った。
いくら怖いからといって、彼女は小娘ではないのだ。されるがままになってはいない。
「逃げるのかね、併し逃げ道はありやしないぜ。わめいて見るかね。だが、地の底の穴蔵だ。誰も助けに来るものはあるまいよ」
不明瞭な声が、毒々しくいいながら、逃げる彼女に、追い迫って来た。
暗の中の、悲惨な鬼ごっこだった。
何かにつまずいて、バッタリ倒れる倭文子。その上にのしかかって、抱きすくめようとする怪物。お互に顔も見えぬ、暗闇の触覚の争い。
あの唇のない、赤い粘膜そのものの様な顔が、今にも彼女の頬にふれはしないかと、倭文子は、それを考えただけで、気の遠くなる程、怖かった。