Classiques japonais avec furigana
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あにきのようなこころもち
大川の水・追憶・本所両国 現代日本のエッセイ
Lisez 大川の水・追憶・本所両国 現代日本のエッセイ (あにきのようなこころもち) de Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 22 007 caractères · 56 écrans
小杉未醒氏
一昨年の冬、香取秀真氏が手賀沼の鴨を御馳走した時、其処に居合せた天岡均一氏が、初対面の小杉未醒氏に、「小杉君、君の画は君に比べると、如何にも優しすぎるじゃないか」と、いきなり一拶を与えた事がある。僕はその時天岡の翁も、やはり小杉氏の外貌に欺かれているなと云う気がした。
成程小杉氏は一見した所、如何にも天狗倶楽部らしい、勇壮な面目を具えている。僕も実際初対面の時には、突兀たる氏の風采の中に、未醒山人と名乗るよりも、寧ろ未醒蛮民と号しそうな辺方瘴煙の気を感じたものである。が、その後氏に接して見ると、――接したと云う程接しもしないが、兎に角まあ接して見ると、肚の底は見かけよりも、遥に細い神経のある、優しい人のような気がして来た。勿論今後猶接して見たら、又この意見も変るかも知れない。が、差当り僕の見た小杉未醒氏は、気の弱い、思いやりに富んだ、時には毛嫌いも強そうな、我々と存外縁の近い感情家肌の人物である。
だから僕に云わせると、氏の人物と氏の画とは、天岡の翁の考えるように、ちぐはぐな所がある訳ではない。氏の画はやはり竹のように、本来の氏の面目から、まっすぐに育って来たものである。