Classiques japonais avec furigana
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あにきのようなこころもち
大川の水・追憶・本所両国 現代日本のエッセイ
Lisez 大川の水・追憶・本所両国 現代日本のエッセイ (あにきのようなこころもち) de Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 22 007 caractères · 56 écrans
豊島与志雄氏の事
豊島は僕より一年前に仏文を出た先輩だから、親しく話しをするようになったのは、寧ろ最近の事である。僕が始めて豊島与志雄と云う名を知ったのは、一高の校友会雑誌に、「褪紅色の珠」と云う小品が出た時だろう。それがどう云う訳か、僕の記憶には「登志雄」として残った。その登志雄が与志雄と校正されたのは、豊島に会ってからの事だったと思う。
初めて会ったのは、第三次の新思潮を出す時に、本郷の豊国の二階で、出版元の啓成社の人たちと同人との会があった、その時の事である。一番隅の方へひっこんでいた僕の前へ、紺絣の着物を着た、大柄な、色の白い、若い人が来て坐った。眼鏡はその頃はまだかけていなかったと思うが、確には覚えていない。僕はその人と小説の話をした。それが豊島だった事は、云うまでもなかろう。何でもその時は、大へんおとなしい、無口な人と云う印象を受けた。それから、いゝ男だとも思ったらしい。らしいと云うのは、その後鴻の巣か何かで会があった時に、豊島の男ぶりを問題にした覚えがあるからである。
それから豊島とは、始終或程度の間隔を置いて、つき合っていた。何かの用で内へ来た時に、ムンクの画が好きだと云いながら、持っている本を出して見せた事がある。