Classiques japonais avec furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠13
中里 介山
Lisez 大菩薩峠13 (だいぼさつとうげ) de 中里 介山 (なかざとかいざん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 349 705 caractères · 678 écrans
彼は星を見るのでなく、星と遊ぶ心です。
従って、星の中の一つ、月というものを見る見方も全く変りました。今までは、月というものは、星の中の最も大きなものと見ていたのが、今は、星の中の、いちばん近いものだと見るようになりました。
手をさし延べれば届くのが、あの月だ。星の中で、いちばん近いから、いちばん大きく見えるので、いちばん大きいから、それで星の王というわけではない。
悪獣毒蛇でも、馴染めばなじめるのだから、日月星辰にも、近寄ろうとすれば近寄れない限りはないと想いつつあります。
太陽はあの通り赫々たるものだから、狎れるわけにはゆかないが、月はあの通り涼しいではないか、星はあの通りクルクルと舞っているではないか、毎夜毎夜、人間と遊びたがって、大空にやさしく出て来るではないか。
茂太郎は、今は、天空を仰いで、星のまたたきと、月のさやけさとをながめて、戯れ遊ぶことだけでは我慢ができなくなりました。
手を取って遊ばなければならぬ、星があの通り招いているのだから、こっちも行ってやらないのは嘘だ! と、こんな空想から、その星の中の最も近くして最も明るい、あの月に乗って、それから星に遊ぶ――こんな空想のために、月が出ると矢も楯もたまらず、月をめがけてまっしぐらに馳せ出すのを常とします。