Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しょうしょうしげもとのはは

少将滋幹の母

谷崎 潤一郎

Lisez 少将滋幹の母 (しょうしょうしげもとのはは) de 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 83 234 caractères · 160 écrans

Aozora Bunko

その、呟いているものが、普通の言葉ではなくて、何かの文句に節をつけて、口のうちで暗誦しているのであるらしいことは察しられたが、滋幹が傍で聞いているのには全く気が付かないかのように、何となく水の面へ眼を落して、同じ文句を二三遍も繰り返していたかと思うと、

「和子」

と云って、やっと少年の方を向いた。

「わしは和子に此の詩を教えて上げる。此れは唐土の白楽天と云う人の作ったもので、子供にはむずかし過ぎて意味が分らないであろうが、そんなことはどうでもよい。わしが云う通りに覚えさえしたらよいのだ。今に和子が大人になったら、自然に分る時が来る」

滋幹は、

「さ、こゝへおかけ」

と云われて、父と並んでその石の端へ腰をかけた。父は最初、子供に覚え易いように、一句ずつ句切ってゆっくりと云い、滋幹が一句を唱え終るのを待って次に進むようにしたが、そうしているうちにだん/\教えていると云う心持を忘れ、己れの感情の赴くまゝに声を張り上げ、抑揚をつけて朗吟し出した。―――

失うて庭の前の雪となり

飛んで海の上の風に因る

九霄応に侶を得たるなるべし

三夜籠に帰らず

声は碧の雲の外に断え

影は明けき月の中に沈む