Classiques japonais avec furigana
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やまのじんせい
山の人生
柳田 国男
Lisez 山の人生 (やまのじんせい) de 柳田 国男 (やなぎたくにお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 116 022 caractères · 226 écrans
ことに阿波・土佐・伊予あたりの山村においては、身持の女房がにわかに産を催し、夫が水を汲みに谷に降っている間に、狼の群に襲われたという話を伝え、または山小屋に産婦を残して里に出た間に、咬み殺されたという類の物語があって、或いはこの獣が荒血の香を好むというがごとき、怪しい博物学の資料にもなっているようだが実事としてはあまりに似通うた例のみ多く、しかもその故跡には大木や厳があって、しばしば祟りを説き亡霊を伝えているのを見ると、これも本来同一系統の信仰が、次第に形態を変じて奇談小説に近づこうとしているものなることを、推測することができるのである。
ただし実際この問題はむつかしくて、もうこれ以上に深入するだけの力もないが、とにかくに自分が考えて見ようとしたのは、何故に多くの山の神が女性であったかということであった。山中誕生の奇怪なる昔語りが、かくいろいろの形をもって弘くかつ久しく行われているのは、或いはこの疑問の解決のために、大切なる鍵ではなかったかということである。日向の椎葉山の「猟人伝書」に、山神の御母の名を一神の君と記しまたは安芸と石見を境する亀尾山の峠において、御子を生みたもうと伝うる神が、市杵島姫命であったというのも、自分にとっては一種の暗示である。