Classiques japonais avec furigana
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やまのじんせい
山の人生
柳田 国男
Lisez 山の人生 (やまのじんせい) de 柳田 国男 (やなぎたくにお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 116 022 caractères · 226 écrans
『駿河国新風土記』巻二十には、なんでも寛政初年の事であったらしく記している。打ち留めたものの余りの怖ろしさに、そのままにして家に帰り、それが病の元になって猟師は死んだ。その遺言に一年も過ぎたなら、こうこうした処だから往って見よとあったので、その通りに時経てのち出かけて捜して見ると、偉大なる脛の骨などが落ち散り、傍にはまた四五尺あるかと思う白い毛が、おびただしくあったと伝えられる。そのように長いならば髪の毛だろうと思うが、何分多くは何段かの又聞きであったため、満身に毛を被るという記事がいつも精確でなく、ことにこの地方では猿の劫経たものとか、狒々とかいう話が今でも盛んに行われて、一層人の風説を混乱せしめる。新聞などを注意していると、四五年に一度ぐらいはそういう噂が必ず起こり、その実打ち取ったのはやや大形の猿であり、ただその話と寸法とのみが以前の山男の方に近くなっている。つまりはうそであり誇張ながらも、由って来たるところだけはあるのである。なお最後に今一つ、どうでも猿ではなかった具体的の例を出して置く。これは『駿河志料』巻十三、『駿河国巡村記』志太郡巻四に共に録し、前の二つの話よりは少しく西の方の山の、やはり百余年前の出来事であった。