Classiques japonais avec furigana
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やまのじんせい
山の人生
柳田 国男
Lisez 山の人生 (やまのじんせい) de 柳田 国男 (やなぎたくにお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 116 022 caractères · 226 écrans
年六十ばかりに見える肉づきの逞ましい大男で一言も物いわず、食を与うれば何でも食った。二三日の間留めておいてのちに元の山地へ放ち返したと、当時のいくつかの記録に載せてある。いずれも多くの人がともに見たのだから、まぼろしとは認めがたい話である。ことに「山みこ」という語が、すでにあの時代の土佐にあったとすれば、必ずしも稀有の例ではなかった。ミコはどう考えても神に仕える人のことで、天狗と同じく彼らを山神の使者、もしくは代表者のごとく見る考えが、吉野川上流の村にはあったことを想像せしめる。
この前後は土着開発に急なる平和時代で、その結果は山と平地との間に、人知らぬ攪乱があったかと思われ、山人出現の事例がたくさんに報ぜられている。尾州名古屋というような繁昌の土地にも、なおいずこからか異人が遣ってきて捕えられたといっている。太い綱で縛っておいたにもかかわらず、夜の間に逃げてしまい、しかもなんらの報復をもしては行かなかった。仙人などと違って存外に智慮もなく、里近くをうろうろしていたのをみると、やはり食物か配偶者か、何か切に求むるものがあったためで、半ばはその無意識の衝動から、浮世の風に当ることにはなったのである。