Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

やまのじんせい

山の人生

柳田 国男

Lisez 山の人生 (やまのじんせい) de 柳田 国男 (やなぎたくにお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 116 022 caractères · 226 écrans

Aozora Bunko

かつて旧知の鈴木鼓村君から、またこんな話を聴いたこともある。鈴木君は磐城亘理郡小鼓村の旧家の出で、それで号を鼓村といっているが、今から百二十年ほど前の鈴木君の家へ、おりおりもらいにくる老人があった。人と物をいわず、物を遣ると口の中で唱え言をするが、何をいうのか少しも聴取れない。飯は両手に受けて副え物もなしに、髯だらけの顔をよごして食う。酒は大好きで、常に一斗二三升も入るかと思う大瓢箪を携え来り、それに入れて遣るとすぐに持って帰る。衣類は着けているが、地合も縞目も見えぬほど汚れていた。生の貝をもらって、石の上で砕いて食ったといって、人は戯れにこれをアサリ仙人と呼んでいた。何処に住む者とも知れず、七日も十日も連日くるかと思えば、二月も三月も絶えてこぬこともあった。帰る際にその跡をつけた者があったが、山に入ると急に足早になり、たちまちにその影を見失った。小鼓は阿武隈の川口であって、山は低いけれども峯は遠く連っている。このアサリ仙人は或る日の朝、鈴木氏の玄関の柱にその大瓢箪をくくりつけて置いて、それっきり永久に遣ってこなくなった。この話には誤伝がないともいえぬが、瓢箪だけは最近に至るまで、この家の宝物の一つであった。