Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
やまつばき
山椿
山本 周五郎
Lisez 山椿 (やまつばき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 15 911 caractères · 32 écrans
三日ぶりで家に帰った彼は、暴びた気持で夕餉の酒を飲んでいた、酔いはなかなか起こらず、疲れた神経は棘とげしくなる許りだった。彼は眼の前に坐っている妻の、固い非人情な身構えや、陶器のように冷たい衿足を見ながら、ふとそれを従妹のみちと置き替えていた。
――荒神様は罰を当てる神様なんですってね。
突然まじめな顔でそんなことを云いだす。たいてい座には誰かいて、あっけにとられながら、「荒神は台所の神でしょう」とか「専門に罰を当てる神様というのはないでしょう」などと云う。みちは確信のある顔でこう断言する。
――あら、だってそう云いましたわよ。
いちど是はこうだと聞けば、そのとおり信じて少しも疑わない「だってそう云いましたわよ」というのが彼女の口癖であり唯一の証明である、「そらまた出た」と云ってみんな笑いだす。……当時は苦にがしいと眺めていたその情景が、主馬にはいま、かなしいほど懐かしく思い出された。そういえば、此の頃は誰も来ない、来ても食事刻はよける、坐って酒を飲むような者はごく稀で、用事が済めばさっさと帰ってゆく。あの頃はこんなではなかった、家の中は賑やかで温たかく、話したり笑ったりする声が、絶えなかった、それが今はどうだ、まるでこれは喪中の家のようではないか。