Classiques japonais avec furigana
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こうじょうさいぼう
工場細胞
小林 多喜二
Lisez 工場細胞 (こうじょうさいぼう) de 小林 多喜二 (こばやしたきじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 91 234 caractères · 184 écrans
それにもっと悪いことには、専務は問題を両方から受けていた。一方には、自分自身の地位について! これは充分に専務を気弱にさせていた。「金融資本家」に完全に牛耳られて、没落しなければならない「産業資本家」の悲哀が、彼の骨を噛んでいた。そればかりか、今年ロシアが蟹工船の漁夫供給問題の復仇として、更にカムチャツカの、優良漁区に侵出してくることは分りきっていた。
けれども工場長が口をきった。――危い、と見てとったのだ。
――とにかく重大問題で、専務が全部の職工にお話ししたいことがあるんだから……それは、まずそれとして……。
――おッ! 一寸待ってくれ!
森本の後から、ラッカー工場の細胞が針のような言葉を投げつけた。
――お、俺だちば、ばかりの力でやったか、会ば……。それば、それば!
言葉より興奮が咽喉にきた。で、森本が次を取った。
――そんなわけで……一寸、貴方々の……勝手には……。
彼は専務や工場長に、而も彼等を三尺と離れない前において、ものを云うのは初めてだった。彼は赤くなって、何度もドギマギした。普段から、専務の顔さえも碌に見れない隅ッこで、鉄屑のように働いている森本だったのだ。