Classiques japonais avec furigana
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こうじょうさいぼう
工場細胞
小林 多喜二
Lisez 工場細胞 (こうじょうさいぼう) de 小林 多喜二 (こばやしたきじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 91 234 caractères · 184 écrans
それに顔をつき合わせると、専務は案外な威厳を持っていた。――だがそう云われて、この「鉄屑のような」職工に、工場長は言葉をかえせなかった。
――まず「確答」だ!
――要求を承諾して貰うんだ! それからだ!
食堂をうずめている職工のなかゝら、誰かそれを叫んだ。上長に対して、そんな云い方は、この工場としては全くめずらしかった。こういう風に一つに集まると、彼等は無意識のうちにその力を頼んでいた。そして彼等は全く別人のようなことを平気で云ってのけた。
工場長とそれに森本も同時に眼をみはった。誰が何時の間に職工をこんな風に育てたのか?
――直ぐこゝでは無理でしょう。余裕を貰わなければなりますまい。
初めて専務は口を開いた。この言葉使いは「ナッパ服」とゝもに「H・S」の誇りだったのだ。
――余裕? 然しこの少しの無理のない決議はこれ以上どうにもならないのですから。
――然し、こっちの……。
森本はくさびを打ち込まなければならない。
――こんな困難な、どんなことになるか分らない時に、その日暮しゝか出来ない我々は、せめてこの機関だけを死守しなければならない所へ追いつめられているわけです。