Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しきぶこうじ

式部小路

泉 鏡花

Lisez 式部小路 (しきぶこうじ) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 74 847 caractères · 149 écrans

Aozora Bunko

「お掛けなさいまし。」

金之助は辞せず、しかし入りはしないで、廊下へ受取った時、福崎は急いで遠山の病室へ行ったが、これも椅子を提げて引返して来て、

「お掛けなさいまし。」

と丹平に。自から直ちに遠山の背後に来て、その受持の患者を守護する。両人は扉を挟んで、腰をかけた、渠等好事なる江戸ツ児は、かくて甘んじて、この惨憺たる、天女廟の門衛となったのである。

雨がドッと降って来た。

しばらくすると、宿直と、看護婦長は、この室を辞して出た。その時、後を閉めようとして、ここに篤志の夜伽のあるのを知って一揖した。

丹平すなわち、外から扉を押そうとすると、

「構いません、」と声をかけて目礼をしたのは医学士山の井光起である。向い合って右の側なる一人の看護婦が、

「宜しゅうございます。」

といった、渠は窈窕たる佳人であった。

「いや、御遠慮を申す、御遠慮を申す。」

と丹平は徐に。かくて自ら自分等を廊下の外に閉め出した。その扉が背を圧するような、間近に居たから、愛吉は身動をしたが、かくても失心の体で、立ちながら、貧乏ゆるぎをぞしたりける。

時に、ここを通り過ぎて、廊下の彼方に欄干のある、螺旋形の段の下り口の処に立ち停って、宿直医と看護婦長と、ひそかに額を交えて彳んだのが、やがて首を垂れて、段を下りるのが見えた。