Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
あるかたきうちのはなし
或敵打の話
Lisez 或敵打の話 (あるかたきうちのはなし) de Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 9 276 caractères · 19 écrans
求馬は勿論喜んだ。が、再び敵打の旅に上るために、楓と当分――あるいは永久に別れなければならない事を思うと、自然求馬の心は勇まなかった。彼はその日彼女を相手に、いつもに似合わず爛酔した。そうして宿へ帰って来ると、すぐに夥しく血を吐いた。
求馬は翌日から枕についた。が、何故か敵の行方が略わかった事は、一言も甚太夫には話さなかった。甚太夫は袖乞いに出る合い間を見ては、求馬の看病にも心を尽した。ところがある日葺屋町の芝居小屋などを徘徊して、暮方宿へ帰って見ると、求馬は遺書を啣えたまま、もう火のはいった行燈の前に、刀を腹へ突き立てて、無残な最後を遂げていた。甚太夫はさすがに仰天しながら、ともかくもその遺書を開いて見た。遺書には敵の消息と自刃の仔細とが認めてあった。「私儀柔弱多病につき、敵打の本懐も遂げ難きやに存ぜられ候間……」――これがその仔細の全部であった。しかし血に染んだ遺書の中には、もう一通の書面が巻きこんであった。甚太夫はこの書面へ眼を通すと、おもむろに行燈をひき寄せて、燈心の火をそれへ移した。火はめらめらと紙を焼いて、甚太夫の苦い顔を照らした。
書面は求馬が今年の春、楓と二世の約束をした起請文の一枚であった。