Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

あるかたきうちのはなし

或敵打の話

芥川 竜之介

Lisez 或敵打の話 (あるかたきうちのはなし) de Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 9 276 caractères · 19 écrans

Aozora Bunko

その内に筑波颪しがだんだん寒さを加え出すと、求馬は風邪が元になって、時々熱が昂ぶるようになった。が、彼は悪感を冒しても、やはり日毎に荷を負うて、商に出る事を止めなかった。甚太夫は喜三郎の顔を見ると、必ず求馬のけなげさを語って、この主思いの若党の眼に涙を催させるのが常であった。しかし彼等は二人とも、病さえ静に養うに堪えない求馬の寂しさには気がつかなかった。

やがて寛文十年の春が来た。求馬はその頃から人知れず、吉原の廓に通い出した。相方は和泉屋の楓と云う、所謂散茶女郎の一人であった。が、彼女は勤めを離れて、心から求馬のために尽した。彼も楓のもとへ通っている内だけ、わずかに落莫とした心もちから、自由になる事が出来たのであった。

渋谷の金王桜の評判が、洗湯の二階に賑わう頃、彼は楓の真心に感じて、とうとう敵打の大事を打ち明けた。すると思いがけなく彼女の口から、兵衛らしい侍が松江藩の侍たちと一しょに、一月ばかり以前和泉屋へ遊びに来たと云う事がわかった。幸、その侍の相方の籤を引いた楓は、面体から持ち物まで、かなりはっきりした記憶を持っていた。のみならず彼が二三日中に、江戸を立って雲州松江へ赴こうとしている事なぞも、ちらりと小耳に挟んでいた。