Classiques japonais avec furigana
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ししょ
戦国武士道物語 死處
山本 周五郎
Lisez 戦国武士道物語 死處 (ししょ) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 16 176 caractères · 33 écrans
そして地上に倒れながら、片手を自分の髪のなかへいれ、白い紙片のようなものをひきだすと、それをずたずたに裂いて捨て、そのままがくっとのめってしまった。
通胤はとっさに走せ寄り、男の裂き捨てた紙片を拾うと、人々から離れて、道ばたの杉の巨木の蔭へはいり、手早く紙片をつぎ合せてみた。瀕死の手で裂いたのだから、つぎ合せるのにひまはかからなかった。かれは夕闇のなかで、紙片に書いてある文字を走り読みしたが、にわかに顔色を変え、低く、口のなかであっと叫んだ。かれは卒然とふりかえり、
「藤七郎、その男はまだ息はあるか」
「いえ、もう絶息しております」
「しまった」
通胤は呻くように云ったが、
「よし、おれは城へ戻る。おまえはあとの始末をしてこい」
そう云うとひとしく、通胤は馬へとび乗っていっさんに城下のほうへ駆け戻って行った。
父は屋敷へさがったところだった。通胤が庭から広縁へまわると、清胤はちょうど居間へはいろうとしていた。かれはつかつかと近寄って、声をひそめながら、「一大事でございます」と云った。清胤はぎらりと眼をふり向けたが、わが子のさしだす紙片をみると、黙って受け取って部屋へはいった。