Classiques japonais avec furigana
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たんていやわ
探偵夜話
岡本 綺堂
Lisez 探偵夜話 (たんていやわ) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 140 363 caractères · 277 écrans
狸の皮の膝掛けをかかえた婦人は、その翌朝の一番汽車で古河君と一緒に、まだ薄暗い停車場を出発したのである。しかも彼女と共にここの河原で死んでいた男も、やはり劇薬をのんだ形跡があるという。古河君はかの事件とを結びあわせて考えたくなった。
「僕の推測はやっぱり当たっていたのだ。」と、古河君は誇るように説明した。「狸の皮の膝掛けをかかえていた婦人は、蝮とか蟒蛇とかいう渾名のある女で、いつでも汽車のなかを自分のかせぎ場にして、掏摸を働いたり、男を欺したりしていたのだ。今度も汽車のなかで心安くなった横浜の糸商人をうまく引っ掛けて、越後の宿屋へくわえ込んだのだが、仕事がどうも思うようにいかなかったと見えて、とうとう荒療治を考えてその男に劇薬をのませて、所持金を引っさらって逃げ出した。そのときに膝掛けでも敷いて坐っていたとみえて、男の口から吐き出した血のあとが毛皮の裏にも泌み付いたらしい。その毛皮をかかえて、そっと宿屋をぬけ出して、夜の明け切らないうちに一番汽車に乗り込んで、それから僕とおなじ温泉へ入り込んだのだということが、あとでみんな判った。」
「それにしても、河原で一緒に死んでいたという男は何者だろう。