Classiques japonais avec furigana
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たんていやわ
探偵夜話
岡本 綺堂
Lisez 探偵夜話 (たんていやわ) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 140 363 caractères · 277 écrans
その手蹟も拙なからず、武士らしい手筋とみえた。本文の書状のうちには、二分判一つを入れるほどの小さい袋もまき込んであるなど、なかなかよく行きとどいていた。なお本文の末にこういう意味のことが書き添えてあった。
もしこの無心聞き済み無く候はば、別封にいたし置候一通を披見なさるべく候、御聞きとどけ下され候はば、右の別封は御開封におよばず、そのまま御返し下さるべく候
開封に及ばずとあれば、あけて見たいのが人情である。市兵衛はその別封をあけて見ろというと、手代共も一種の興味をそそられて、すぐに封をあけた。主人も奉公人も店の灯の下に顔をつきよせて、その別封の文面をよんでみると、これは本文の丁寧なのに引きかえて、穏かならざる文言が列べ立ててあった。万一この無心を聞きとらない時は、屹と思い知らせるから覚悟しろ。あるじは勿論、家内の小者にいたるまで、日が暮れてから外へ出たらば命はないものと思え。それを恐れて夜中外出しなければ、さらに火を放って焼き払うぞというような、おそろしい文句のかずかずが列べてあるので、人びとも顔のいろを変えた。それでも主人の市兵衛は他の人びとほどには驚かず、なにしろこの取り込みの最中にどうもなるわけのものでない。