Classiques japonais avec furigana
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いっすんぼうし
日本の古典童話
楠山 正雄
Lisez 日本の古典童話 (いっすんぼうし) de 楠山 正雄 (くすやままさお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 24 747 caractères · 50 écrans
四
鉢かつぎはそれをあお向いて見ながら、いつも拝んでいる長谷の観音さまの方角に向かって、どうぞわたしたちの身の上をお守り下さいましと、心の中でいって手を合わせました。するとその拍子に頭の鉢がぽっくり落ちて、それといっしょに、ばらばらと金銀や宝石がこぼれ落ちました。宰相はこの時はじめて月の光で鉢かつぎのきれいな顔を見て、びっくりしてしまいました。落ちた鉢の中からは、金と漆をぬった箱が二つ出て、その中には金の杯に銀の長柄、砂金で作ったたちばなの実と、銀で作ったなしの実、目の覚めるような十二単の晴れ着の緋のはかま、その外いろいろの宝物がぎっしり入っていました。鉢かつぎはそれを見ると、また涙をこぼしながら、これも亡くなったおかあさまが、平生長谷の観音さまを信心した御利益に違いないと思って、もう一度西の方を向いて、観音さまを拝みました。
四
こうなると、お嫁合わせを恥ずかしがって、お座敷を抜け出すにも及ばなくなりました。宰相は鉢かつぎにお嫁合わせに出る支度をさせて、静かに待っていました。乳母をはじめみんな、
「まあ、お嫁合わせをするといったら、さすがに恥ずかしがって、出ていくだろうと思ったら、どこまでずうずうしい女なのだろう。