Classiques japonais avec furigana
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なかじきり
日本の文学 2 森鴎外(一)
Lisez 日本の文学 2 森鴎外(一) (なかじきり) de Mori Ōgai (森 鴎外) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 22 092 caractères · 45 écrans
はいってみると、二人の客を通すには、ちと大きすぎるサロンである。三所に小さい卓がおいてあって、どれをも四つ五つずつ椅子が取り巻いている。東の右の窓の下にソファもある。そのそばには、高さ三尺ばかりの葡萄に、暖室で大きい実をならせた盆栽がすえてある。
渡辺があちこち見廻していると、戸口に立ちどまっていた給仕が、「お食事はこちらで」といって、左側の戸をあけた。これはちょうどよい室である。もうちゃんと食卓がこしらえて、アザレエやロドダンドロンを美しく組み合せた盛花の籠を真中にして、クウウェエルが二つ向き合せておいてある。いま二人くらいははいられよう、六人になったら少し窮屈だろうと思われる、ちょうどよい室である。
渡辺はやや満足してサロンへ帰った。給仕が食事の室からすぐに勝手の方へ行ったので、渡辺ははじめてひとりになったのである。
金槌や手斧の音がぱったりやんだ。時計を出して見れば、なるほど五時になっている。約束の時刻までには、まだ三十分あると思いながら、小さい卓の上に封を切って出してある箱の葉巻を一本取って、さきを切って火をつけた。
不思議なことには、渡辺は人を待っているという心持が少しもしない。