Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

めいあん

明暗

夏目 漱石

Lisez 明暗 (めいあん) de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 322 590 caractères · 645 écrans

Aozora Bunko

「診察室へ行くんじゃないのよ。ちょっとここの電話を借りるのよ」

「どこかへ用があるのかね」

「用じゃないけど、――ちょっとお秀さんの所へあなたの事を知らせておこうと思って」

同じ区内にある津田の妹の家はそこからあまり遠くはなかった。今度の病気について妹の事をあまり頭の中に入れていなかった津田は、立とうとするお延を留めた。

「いいよ、知らせないでも。お秀なんかに知らせるのはあんまり仰山過ぎるよ。それにあいつが来るとやかましくっていけないからね」

年は下でも、性質の違うこの妹は、津田から見たある意味の苦手であった。

お延は中腰のまま答えた。

「でも後でまた何か云われると、あたしが困るわ」

強いてとめる理由も見出し得なかった津田は仕方なしに云った。

「かけても構わないが、何も今に限った事はないだろう。あいつは近所だから、きっとすぐ来るよ。手術をしたばかりで、神経が過敏になってるところへもって来て、兄さんが何とかで、お父さんがかんとかだと云われるのは実際楽じゃないからね」

お延は微かな声で階下を憚かるような笑い方をした。しかし彼女の露わした白い歯は、気の毒だという同情よりも、滑稽だという単純な感じを明らかに夫に物語っていた。