Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
めいあん
明暗
Lisez 明暗 (めいあん) de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 322 590 caractères · 645 écrans
百五十四
「さよなら」
多事な一週間の病院生活は、この一語でようやく幕になった。
百五十四
目的の温泉場へ立つ前の津田は、既定されたプログラムの順序として、まず小林に会わなければならなかった。約束の日が来た時、お延から入用の金を受け取った彼は笑いながら細君を顧みた。
「何だか惜しいな、あいつにこれだけ取られるのは」
「じゃ止した方が好いわ」
「おれも止したいよ」
「止したいのになぜ止せないの。あたしが代りに行って断って来て上げましょうか」
「うん、頼んでもいいね」
「どこであの人にお逢いになるの。場所さえおっしゃれば、あたし行って上げるわ」
お延が本気かどうかは津田にも分らなかった。けれどもこういう場合に、大丈夫だと思ってつい笑談に押すと、押したこっちがかえって手古摺らせられるくらいの事は、彼に困難な想像ではなかった。お延はいざとなると口で云った通りを真面に断行する女であった。たとい違約であろうとあるまいと、津田を代表して、小林を撃退する役割なら進んで引き受けないとも限らなかった。彼は危険区域へ踏み込まない用心をして、わざと話を不真面目な方角へ流してしまった。
「お前は見かけに寄らない勇気のある女だね」