Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

めいあん

明暗

夏目 漱石

Lisez 明暗 (めいあん) de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 322 590 caractères · 645 écrans

Aozora Bunko

「まあないね」と云い放った津田は、わざとそっぽを向いた。

「ないかね。どこかにありそうなもんだがな」

「ないよ。近頃は不景気だから」

「君はどうだい。世間はとにかく、君だけはいつも景気が好さそうじゃないか」

「馬鹿云うな」

岡本から貰った小切手も、お秀の置いて行った紙包も、みんなお延に渡してしまった後の彼の財布は空と同じ事であった。よしそれが手元にあったにしたところで、彼はこの場合小林のために金銭上の犠牲を払う気は起らなかった。第一事がそこまで切迫して来ない限り、彼は相談に応ずる必要を毫も認めなかった。

不思議に小林の方でも、それ以上津田を押さなかった。その代り突然妙なところへ話を切り出して彼を驚ろかした。

その朝藤井へ行った彼は、そこで例もするように昼飯の馳走になって、長い時間を原稿の整理で過ごしているうちに、玄関の格子が開いたので、ひょいと自分で取次に出た。そうしてそこに偶然お秀の姿を見出したのである。

小林の話をそこまで聴いた時、津田は思わず腹の中で「畜生ッ先廻りをしたな」と叫んだ。しかしただそれだけではすまなかった。小林の頭にはまだ津田を驚ろかせる材料が残っていた。