Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

めいあん

明暗

夏目 漱石

Lisez 明暗 (めいあん) de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 322 590 caractères · 645 écrans

Aozora Bunko

私の向後の心得にもなる事ですから」

途中まで来た夫人は、たとい津田から誘われないでも、もうそこで止まる訳に行かないので、すぐ残りのものを津田の前に投げ出した。

「あなたは良人や岡本の手前があるので、それであんなに延子さんを大事になさるんでしょう。もっと露骨なのがお望みなら、まだ露骨にだって云えますよ。あなたは表向延子さんを大事にするような風をなさるのね、内側はそれほどでなくっても。そうでしょう」

津田は相手の観察が真逆これほど皮肉な点まで切り込んで来ていようとは思わなかった

「私の性質なり態度なりが奥さんにそう見えますか」

「見えますよ」

津田は一刀で斬られたと同じ事であった。彼は斬られた後でその理由を訊いた。

「どうして? どうしてそう見えるんですか」

「隠さないでもいいじゃありませんか」

「別に隠すつもりでもないんですが……」

夫人は自分の推定が十の十まであたったと信じてかかった。心の中でその六だけを首肯った津田の挨拶は、自然どこかに曖昧な節を残さなければならなかった。それがこの場合誤解の種になるのは見やすい道理であった。夫人はどこまでも同じ言葉を繰り返して、津田を自分の好きな方角へのみ追い込んだ。