Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

めいあん

明暗

夏目 漱石

Lisez 明暗 (めいあん) de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 322 590 caractères · 645 écrans

Aozora Bunko

ぞっとした。

御者は馬の轡を取ったなり、白い泡を岩角に吹き散らして鳴りながら流れる早瀬の上に架け渡した橋の上をそろそろ通った。すると幾点の電灯がすぐ津田の眸に映ったので、彼はたちまちもう来たなと思った。あるいはその光の一つが、今清子の姿を照らしているのかも知れないとさえ考えた。

「運命の宿火だ。それを目標に辿りつくよりほかに途はない」

詩に乏しい彼は固よりこんな言葉を口にする事を知らなかった。けれどもこう形容してしかるべき気分はあった。彼は首を手代の方へ延ばした。

「着いたようじゃないか。君の家はどれだい」

「へえ、もう一丁ほど奥になります」

ようやく馬車の通れるくらいな温泉の町は狭かった。おまけに不規則な故意とらしい曲折を描いて、御者をして再び車台の上に鞭を鳴らす事を許さなかった。それでも宿へ着くまでに五六分しかかからなかった。山と谷がそれほど広いという意味で、町はそれほど狭かったのである。

宿は手代の云った通り森閑としていた。夜のためばかりでもなく、家の広いためばかりでもなく、全く客の少ないためとしか受け取れないほどの静かさのうちに、自分の室へ案内された彼は、好時季に邂逅せてくれたこの偶然に感謝した。