Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

めいあん

明暗

夏目 漱石

Lisez 明暗 (めいあん) de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 322 590 caractères · 645 écrans

Aozora Bunko

「それほど自分は彼女に対して冷淡なのだろうか」

彼は無論そうでないと信じていた。彼は食事の時、すでに清子のいる方角を、下女から教えて貰ったくらいであった。

「しかしお前はそれを念頭に置かなかったろう」

彼は実際廊下をうろうろ歩行いているうちに、清子をどこかへふり落した。けれども自分のどこを歩いているか知らないものが、他がどこにいるか知ろうはずはなかった。

「この見当だと心得てさえいたならば、ああ不意打を食うんじゃなかったのに」

こう考えた彼は、もう第一の機会を取り逃したような気がした。彼女が後を向いた様子、電気を消して上り口の案内を閉塞した所作、たちまち下女を呼び寄せるために鳴らした電鈴の音、これらのものを綜合して考えると、すべてが警戒であった。注意であった。そうして絶縁であった。

しかし彼女は驚ろいていた。彼よりも遥か余計に驚ろいていた。それは単に女だからとも云えた。彼には不意の裡に予期があり、彼女には突然の中にただ突然があるだけであったからとも云えた。けれども彼女の驚ろきはそれで説明し尽せているだろうか。彼女はもっと複雑な過去を覿面に感じてはいないだろうか。