Classiques japonais avec furigana
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しゅんちゅう
春昼・春昼後刻
泉 鏡花
Lisez 春昼・春昼後刻 (しゅんちゅう) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 51 079 caractères · 102 écrans
月も時雨もばらばら葺。それでも先代の親仁と言うのが、もう唯今では亡くなりましたが、それが貴下、小作人ながら大の節倹家で、積年の望みで、地面を少しばかり借りましたのが、私庵室の背戸の地続きで、以前立派な寺がありました。その住職の隠居所の跡だったそうにございますよ。
豆を植えようと、まことにこう天気の可い、のどかな、陽炎がひらひら畔に立つ時分。
親仁殿、鍬をかついで、この坂下へ遣って来て、自分の借地を、先ずならしかけたのでございます。
とッ様昼上りにせっせえ、と小児が呼びに来た時分、と申すで、お昼頃でありましょうな。
朝疾くから、出しなには寒かったで、布子の半纏を着ていたのが、その陽気なり、働き通しじゃ。親仁殿は向顱巻、大肌脱で、精々と遣っていた処。大抵借用分の地券面だけは、仕事が済んで、これから些とほまちに山を削ろうという料簡。ずかずか山の裾を、穿りかけていたそうでありますが、小児が呼びに来たについて、一服遣るべいかで、もう一鍬、すとんと入れると、急に土が軟かく、ずぶずぶと柄ぐるみにむぐずり込んだで。
ずいと、引抜いた鍬について、じとじとと染んで出たのが、真紅な、ねばねばとした水じゃ、」