Classiques japonais avec furigana
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しゅんちゅう
春昼・春昼後刻
泉 鏡花
Lisez 春昼・春昼後刻 (しゅんちゅう) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 51 079 caractères · 102 écrans
」
「あら、こんなに甲羅を干しておりますものを。」
「へい、」と、綱は目をって、ああ、我ながらまずいことを言った顔色。
美女はその顔を差覗く風情して、瞳を斜めに衝と流しながら、華奢な掌を軽く頬に当てると、紅がひらりと搦む、腕の雪を払う音、さらさらと衣摺れして、
「真個は、寝ていましたの……」
「何んですッて、」
と苦笑。
「でも爾時は寝ていやしませんの。貴下起きていたんですよ。あら、」
とやや調子高に、
「何を言ってるんだか分らないわねえ。」
馴々しくいうと、急に胸を反らして、すッきりとした耳許を見せながら、顔を反向けて俯向いたが、そのまま身体の平均を保つように、片足をうしろへ引いて、立直って、
「否、寝ていたんじゃなかったんですけども、貴下のお姿を拝みますと、急に心持が悪くなって、それから寝たんです。」
「これは酷い、酷いよ、貴女は。」
棄て身に衝と寄り進んで、
「じゃ青大将の方が増だったんだ。だのに、わざわざ呼留めて、災難を免れたとまで事を誇大にして、礼なんぞおっしゃって、元来、私は余計なお世話だと思って、御婦人ばかりの御住居だと聞いたにつけても、いよいよ極が悪くって、此処だって、貴女、こそこそ遁げて通ろうとしたんじゃありませんか。