Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(一)

岡本 綺堂

Lisez 時代推理小説 半七捕物帳(一) (はんしちとりものちょう) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 158 540 caractères · 319 écrans

Aozora Bunko

と、熊蔵は頭を掻いた。

「猫婆がまったく病気で死んだのなら論はねえが、もしその脳天の傷に何か曰くがあるとすれば、おめえは誰がやったと思う」

「いずれ長屋の奴らでしょう」

「そうかしら」と、半七は考えていた。「その息子という奴がおかしくねえか」

「でも、その息子というのは近所でも評判の親孝行だそうですぜ」

評判の孝行息子が親殺しの大罪を犯そうとは思われないので、半七も少し迷った。しかし猫婆がともかくも素直に猫を渡した以上、長屋の者がかれを殺す筈もあるまいと思われた。息子の仕業でも無し、長屋の者どもの仕業でもないとすれば、猫婆の死は医者の診断の通り、やはり卒中の頓死ということに決めてしまうよりほかはなかったが、半七の疑いはまだ解けなかった。いくら年が若いといっても、息子はもう二十歳にもなっている。母の死を近所の誰にも知らせないで、わざわざ隣り町の同商売の家まで駈けて行ったということが、どうも彼の腑に落ちなかった。と云って、それほどの孝行息子がどうして現在の母を残酷に殺したか、その理窟はなかなか考え出せなかった。

「なにしろ、もう一度頼んでおくが、おめえよく気をつけてくれ。