Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(一)

岡本 綺堂

Lisez 時代推理小説 半七捕物帳(一) (はんしちとりものちょう) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 158 540 caractères · 319 écrans

Aozora Bunko

それを貴様と俺とが山分けにしたんだから、もう云い分はねえ筈だ」

「云い分じゃあねえ。頼むんですよ」と、又蔵はしつこく口説いた。「まあ、何とかしておくんなせえ。女に責められて全く遣り切れねえんだから。お前さんだって、まんざら覚えのねえことでもありますめえ。ちっとは思いやりがあっても好いじゃありませんか」

相手が黙って取り合わないので、又蔵も焦れ出したらしい。酔っている彼の調子は少し暴くなった。

「じゃあ、どうしてもいけねえんですかえ。もうこうなりゃ仕方がねえ。御用人がけさ八丁堀へ出かけたということだから、わっしもこれから八丁堀へ行って、若殿様はこういうところに……」

「嚇かすな」と、平助はまたあざ笑った。「両国の百日芝居で覚えて来やあがって、乙な啖呵を切りゃあがるな。そんな文句はほか様へ行って申し上げろ。お気の毒だが辻番が違うぞ」

まだ宵の口ではあるが、世間がひっそりと鎮まっているので、こうした押し問答が手に取るように半七の耳に伝わった。いずれこの納まりは平穏に済むまいと見ていると、それから二人のあいだに尖った声が交換されて、しまいには二つの影がもつれ合って動き出した。